Prana Chaiを扱っていただいている多くのお店では、スペシャルティコーヒーを扱っています。チャイ好きの人にとっても、コーヒーは身近な存在ですよね。
単にコーヒーを味わうと言っても「どこで飲むか」「どのように飲むか」「どんな豆を選ぶか」など、人それぞれのこだわりがあります。
おうち時間が充実してきた近年では、自宅でも気軽にコーヒーを楽しむ機会が増えてきました。さらに、その流れに乗って豆の品質や淹れ方にこだわる人も増えています。街の喫茶店や焙煎所ともなると、更なるクオリティの高さを求めて訪れる人も少なくありません。
コーヒーをより美味しく味わうために、コーヒーについてより詳しくなってみませんか?
今回の記事では、知っているようで知らない「スペシャルティコーヒー」と、高品質な豆をより美味しく味わう方法としての「コールドブリューと水出し」の違いについて、分かりやすくお伝えします。どんな豆を、どんな方法で淹れるのが良いか、迷った時の参考にしてみてください。
「スペシャルティコーヒー」はこだわりコーヒーへの入り口
コーヒーについて、量やコストパフォーマンスを重視するか、味や香りの体験に重きを置くか、あなたはどちらでしょうか?
スペシャルティコーヒーって何?
「スペシャルティコーヒー」とは、1970年代までのコーヒーの大量消費を見直すため、アメリカのスペシャルティコーヒー協会(SCAA)によって提唱された高品質コーヒーの概念です。
このように言うと少し難しく思えますが、スペシャルティコーヒーとは、豆の品質・味・香りが国際基準で高く評価されていて、かつ生産から消費までの経路(トレーサビリティ)が明確なコーヒーを指します。
スペシャルティコーヒーには、普通の「高級コーヒー」や「プレミアムコーヒー」とは違った、評価基準と品質管理の仕組みがあります。
スペシャルティコーヒーはどうやって決まる?
スペシャルティコーヒーの評価は、カップ評価を用いて決まります。カップ評価は、コーヒー豆の品質を香りや味わいの観点から数値化する方法で、香り・風味・酸質・バランスなどを100点満点で採点します。カップ評価で80点以上を獲得しているコーヒーを、スペシャルティコーヒーと呼びます。
80~85点未満は「スペシャルティグレード」、 85~90点未満を「スペシャルティ・オリジン」、90点以上を「スペシャルティ・レア」のように格付けされます。
スペシャルティコーヒーの選び方は?
では、スペシャルティコーヒーを実際に選ぶとき、どのような豆を選ぶのが良いでしょうか?そのポイントを押さえていきましょう!
①情報が明確に書かれている豆を選ぶ
基本的なことですが、スペシャルティコーヒーは生産から流通までの追跡が明確で、ラベルに詳細が書かれています。情報が少ない場合はスペシャルティではない可能性が高いです。
産地(国・地域・農園名)、品種(例:ゲイシャ、ブルボンなど)、精製方法(ウォッシュト、ナチュラル、ハニー)、焙煎日(できれば2週間以内)などがはっきりと明示されている豆を選びましょう。
②カップスコアの得点が高い豆を選ぶ
スペシャルティコーヒーは数値が高いほど、香り・味・後味などの評価が優れています。特に、高得点ロット(85点以上)は個性が強く、初めての人にも違いが分かりやすいです。
③焙煎度を好みに合わせて選ぶ
焙煎の度合いによっても特徴が分かれています。
浅煎りなら、フルーティで酸味が際立ちます。代表的な豆はエチオピアやケニアなどです。中煎りは、バランス型でコロンビアやグアテマラがあります。深煎りの場合は、チョコやナッツ系の甘苦さが感じられ、ブラジルやマンデリンといった銘柄が挙げられます。
初めての方であれば、中煎り寄りの中浅煎りが飲みやすく、個性も感じやすいと言えます。
実は違う「コールドブリュー」と「水出し」コーヒー
ここまで、スペシャルティコーヒーについて見てきましたが、珈琲豆は高品質な豆ほど低温抽出の良さが生きるため、コールドブリューや水出しのコーヒーととても相性が良いです。
コールドブリューコーヒーと水出しコーヒーは、コーヒー好きの方なら一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。どちらも似ているようですが、実は微妙な違いがあります。その違いをスッキリさせましょう!
コールドブリューと水出しの違い
コールドブリュー(cold brew coffee)を訳すると「水抽出コーヒー」となり、 水からコーヒーを抽出する方法を指します。日本語では「水出しコーヒー」と訳されます。コールドブリューと水出しを同義として扱う場合も多いです。
一方で「浸漬式 (水にコーヒー粉を浸け置くタイプ)」を「コールドブリュー」、「滴下式 (コーヒー粉に水滴をポタポタ落とすタイプ)」を「水出しコーヒー」と分ける場合があります。
実は滴下式という淹れ方は、京都の喫茶店「はなふさ」の店主が編み出した方法が原点です。喫茶店の店主と京都大学理学部の学生が共同で、医療器具メーカーに器具を依頼し、専用のドリップ装置を開発したことが始まりとされています。
それぞれの特徴とメリット
違いをざっくりと把握したところで、どちらが自分の好みに合っているか知りたいですよね。その違いについて見ていきましょう!
① コールドブリュー(浸け置き式)
特徴
コーヒー粉を冷水に浸けたまま、じっくり長時間かけて抽出します。冷蔵庫に入れておけば一晩で完成です。雑味が出にくく、まろやかで甘みのある味になります。
メリット
家でも気軽に作れて、ピッチャーがあればOKです。専用の道具はほぼいりません。
また、酸味や苦みが抑えられるので、多くの方にとって飲みやすいコーヒーと言えます。冷蔵で2〜3日持つので「忙しいけれど、本格的なコーヒーが飲みたい」という方にオススメです。
② 水出しコーヒー(滴下式/ダッチコーヒー)
特徴
専用の器具を使って、冷水を一滴ずつゆっくりとコーヒー粉に落としながら抽出します。
オランダ由来で、別名「ダッチコーヒー」とも呼ばれます。雑味が少なく、スッキリとしたクリアな味わいが特徴です。
メリット
香りと透明感のある味が出やすいので、氷で薄めずそのまま飲んでも美味しいというのが最大のポイントです。また、抽出する際の見た目がオシャレで、カフェで映えること間違いなし。抽出している様子をお客様に楽しんでいただけます。
コールドブリューと水出しのまとめ
両者の違いを表にまとめると、以下のようになります。
コールドブリュー (Cold Brew) |
水出しコーヒー (ダッチコーヒーなど) |
|
抽出方法 |
水にコーヒー粉を浸けて抽出 |
水を少しずつコーヒー粉に滴下して抽出 |
抽出時間 |
8〜12時間(浸け置き) |
3〜8時間(ドリップ式) |
味の特徴 |
やわらかく、まろやか |
クリアで、ややシャープな味わい |
器具 |
密閉容器やピッチャーなど |
専用のドリップ器(ウォータードリッパー)など |
難易度 |
比較的カンタン(家庭向き) |
やや手間がかかる(プロ向きも多い) |
結局どっちを選べばいい?
コールドブリューは、甘さやまろやかさを重視していて、忙しくても手軽に美味しく作りたい人向けと言えます。
水出しはスッキリとした味が好きで、ゆったりとした時間の中でコーヒー器具の見た目や抽出時間を含めて楽しみたい方向けと言えるでしょう。
豆を選ぶ際のワンポイントアドバイス!
抽出方法が決まったところで、より美味しく味わうためのポイントがあります。
コールドブリューは、ストレートで味わいたい場合、中〜粗挽きの豆を使用して比率は「豆1:水10〜15」くらいがオススメです。ミネラル分の少ないほうがクリアな味になるため、硬水より軟水が向いていますが、日本の水道水は大体が軟水なのでぴったりです。
水出しは、滴下は抽出時間が短く、粗すぎると薄くなりやすいので中粗挽きがオススメです。比率はコールドブリューとほぼ同じでも良いですが、抽出効率が高いため「豆1 : 水12〜15」だとベストです。水出しは、硬水でも飲めますが、やはり軟水のほうが風味がクリアです。
チャイ好きの方にも知っていただきたいコーヒーの世界、いかがでしたでしょうか。
平日は自宅で手軽にコールドブリュー、休日は専用の器具がある喫茶店でインテリアや雰囲気を楽しみながら…気分に合わせて、チャイもコーヒーも味わってみてくださいね。