余韻から生まれる
バナナブレッド

バナナブレッド

カリっと焼いた表面にそっとフォークを入れると、生地はふかふか。口に入れた途端、ほんのりとバナナの風味が広がり、鼻を抜けるとともに柔らかな甘みもすーっと消える。そして、ふっと、思いを馳せる時間が訪れる。THE COFFEE TABLEのバナナブレッドは、この余韻から生まれている。「僕たちは後味をすごく大事にしていて、そこからの逆算で味を作っています」と話すのは、店主・本間亘さん。たとえば、甘味で使っているのは素焚糖。かわいらしい甘さが後に残るきび糖に比べて、大人っぽい甘さの印象が良かったという。

本間さんがバナナブレッドに出合ったのは、店を始める前のこと。ワーキング・ホリデーの準備に向けてメルボルンに滞在したときだった。現地のカフェを巡ると、どの店もレジの脇にバナナブレッドが山積み。コーヒーを片手に、歩きながらカジュアルに楽しむ人々の姿があった。メルボルンの暮らしの中のお菓子は、本間さんの思い出となり、いずれ自分の店で作ることを心に決める。

2015年のオープン当初から変わらぬ定番でありながら、レシピは日々進化を続けてきた。本間さんご自身が体調を崩した経験から、素材はすべて体に負担の少ない国産に変わり、素材の魅力を伝える形に。今ではパートナーの茜さんが作り手として腕を振るっている。

「繊細で複雑な味わいを計算して作るのは、料理人の“足し算”の世界。そこに足を踏み入れると、なかなか及ばない。カフェという日常の文化が根付いた場所で、僕たちにできることを考えたら、素材の良さをシンプルに届けることだなって。毎日でも楽しめるよう体にすっと馴染んで、個性が強すぎないものを今は目指しています」

温めても冷やしても美味しく食べられて、チャイはもちろん、珈琲にも合うし、暮らしにそっと寄り添うあたたかさを感じる。いつ食べても気持ちをやさしくほどき、想像の時間へと導いてくれるバナナブレッド。新潟市郊外の静かな街で店とともに時を重ねたいま、人々の日常の心のよりどころになっている。


THE COFFEE TABLE 店主 本間亘さん

チャイはシンプルに牛乳で煮出したものが、バナナブレッドにぴったり。うちで使っているのは、VEGAN BLEND。甘さが欲しいときは、きび糖を足します。バナナブレッドは冷凍で届くので、レンジで少し温めてからオーブントースターで表面をカリっと焼いて。目玉焼きとベーコンとメープルシロップを添えると、想像の上をいく最高の朝食! 夏は冷やしたままキューブ上にカットして、生クリーム、バニラアイス、お好みのフルーツを重ねてパフェに。店でも人気のメニューです。

shop data

THE COFFEE TABLE
新潟市中央区上大川前通3-125 藤田ビル1F

Online store
https://thecoffeetableonline.stores.jp/

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Koyama Chisa
Koyama Chisa
おいしいものを綴る人。店主からこぼれる言葉を掬って生きたい。ゲストハウス、地方出版社、都内編プロを経て、神戸の広告会社にリモート勤務。いまは仙台暮らし。今日もCafeにいる。