みんなの集まる場を描くマフィン

仙台のにぎやかな一番町商店街を抜け、ケヤキ並木の美しい青葉通りをのんびり歩いていると、少し古びたちいさなビルにたどり着く。そこは、1棟まるごとリノベーションした4階建てのビルで、カフェをはじめ、作り手の見える雑貨や食品の販売・展示スペース、デザイン事務所があり、いつもあたたかな明かりが灯っている。

そのビルの入り口となるのが、CAFE MUGI。「MUGIは小麦のムギ。いろんな材料と一緒になって、新しいものに生まれ変わる小麦のように、私たちもいろんな人と出会って、広がっていきたくて」と飾らない笑顔で話すのは、店主の荒川瞳さん。店のコンセプトにも繋がる形で生まれたマフィンは、2017年のオープン当初から看板スイーツとして彼女たちとともに歩んできた。

MUGIのマフィンは、とにかくしっとりほんわり。きめの細かな生地の中に、あんこだったり、安納芋のペーストだったり、定番ものや季節ごとの具がまるでクリームのように混ざり、ほおばるごとに口の中で一体となって、じんわり溶けてゆく。染み込むようなやさしい甘さでくどさがなく、気づけばぺろりと食べ切って、もう1個食べようか、自然とそんな気持ちになっている。今まで食べてきたマフィンとの違いに、きっと驚くと思う。

「マフィンって、もそもそとした食感のお菓子だと思われがちですが、私自身、そういうのはあんまり好きじゃなくて。イメージは、水がいらないマフィン。いくらでも食べられちゃうようなしっとり生地を味わってほしいなって。実際、生地だけを食べたいというお客さんの声でプレーンも生まれました」と、嬉しそうに笑う。

店を始める以前から、カフェで働いていた荒川さん。岩手県産の小麦粉や北海道の牛乳をはじめ、バターや砂糖も、使う素材はすべて経験をもとにイメージに合うものをひと通り取り寄せ、試作を繰り返した先に選び抜いたもの。一方で、季節の具材は農家さんを訪ねることもあり、果物や野菜など、出合った素材の個性を知った上でマフィンにどう生かすかを考える。

今ではマフィンを目当てに訪れるお客さんも多い。こんがりと黄金色に焼き上がったマフィンがずらりと並ぶ姿を眺めるだけで、なんだかわくわくする。「マフィンは私たちにとってメインのお菓子に変わりありません。その中で今、ケーキやクッキーも作っているのは、いろんな種類のお菓子と合わさることで、みんなで食べるおやつの時間が充実してほしいから。そこで、わぁ!って声が上がってほしいなって」

素材と人と、いろんなものが出会って、初めて生まれる味わい。その先に描くのは、友人や家族、大切な人たちが集まって、MUGIのお菓子を手にとるその姿だ。楽しげな声が聴こえる場所に、今日もMUGIのマフィンはある。


CAFE MUGIのみなさん

粉物のお菓子にはミルクが合うので、うちではORIGINAL BRENDを少量のお湯で蒸らし、ホットミルクと合わせ、仕上げに蜂蜜を足して、コクをプラスしています。マフィンのバターのコクとも合わさって、満足感がありますよ。チャイに合わせるマフィンは、北海道あんこバターがおすすめ。これだけを詰め合わせて購入していく方もいるくらいの人気者です。

shop data

CAFE MUGI
宮城県仙台市青葉区片平1-3-35-1to2bldg内

Online store
https://1to2.shop-pro.jp/

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Koyama Chisa
Koyama Chisa
おいしいものを綴る人。店主からこぼれる言葉を掬って生きたい。ゲストハウス、地方出版社、都内編プロを経て、神戸の広告会社にリモート勤務。いまは仙台暮らし。今日もCafeにいる。