沖縄の“いま”が溶け込む
チョコレート

ざらっとした手触りの包みをゆっくりと開き、現れた1枚のチョコレートをパリっと割って、欠片を口に放り込む。瞬間、弾けるように、そして繊細に、カカオの風味がふわっと広がる。ほのかにレーズンのような味わいを感じるものもあれば、シナモンのようにスパイシーで、かつ果実感のあるものもあり、後味はどれもすっきり。インドネシア、コロンビア、台湾など、カカオ豆の産地によって味わいが鮮やかに変化するのは、Bean to Barならでは。けれど、TIMELESS CHOCOLATEで自家焙煎したカカオ豆の個性を立たせるのは、沖縄の島々で育つサトウキビだ。

「サトウキビは味わいが濃いものもあれば、ミネラル感が強いもの、鉄っぽい味がするものなど、育った島によって味が変わります」と語るのは、立上げから携わってきた宮崎雄志さん。使う素材はサトウキビとカカオ豆のみ。たとえば、多良間島のサトウキビで作った純黒糖はすっきりとした甘さで、主張しすぎない風味。これには、バターっぽいナッツ感のある、繊細でやさしい味わいのコロンビアのカカオ豆を合わせる。「僕たちは沖縄のサトウキビを生かす豆を選んでいるんです」。

もともとは、島々で出合ったサトウキビをどう表現できるか考えたのが、すべての始まりだった。「それで、たまたまチョコレート」と、あっさり話す宮崎さんだけれど、突き詰めていることは言葉の節々から伝わってくる。自然に翻弄されながらも、農家の人々のもとで逞しく育つサトウキビは、同じ島のものでも毎年、味が変わる。さらに、沖縄に幾人しかいないという砂糖職人によっても純黒糖の風味は変わり、チョコレート作りを手掛ける彼ら自身の変化も味わいに大きく影響する。

「あの時の方が美味しかったねってこともあります、やっぱり。そこを追いかけても仕方ないから。それでも、前より良いものを作ろうって気持ち。材料にこだわってますねって、よく言われるんですけど、こだわってはいないんです。こだわると、ひとつの味に固執して、限界がくると思う。ただ、いまの素材を生かすこと。飽き性な僕らが続けていられるのは、変化が面白いからなんです」

試行錯誤の連続のなかで、沖縄のローカルから見つめる先にあるのは、日本、そして世界だ。自分たちでサトウキビ畑をつくり、砂糖を焚く挑戦もはじめた彼ら。新しい仲間も加わって、またTIMELESS CHOCOLATEは進化する。島のサトウキビから生まれたチョコレートは、沖縄のいまを、彼らのいまを、伝えている。


TIMELESS CHOCOLATE 宮崎雄志さん

BONSOYでチャイを淹れるとすっきりとして、特にインドネシアのチョコレートに合わせるとそれぞれのスパイス感が引き立ちます。店で出しているのは、ORIGINAL BLENDのミルク出しのもの。冷たい牛乳に茶葉を一晩浸して茶こしで漉します。割合は牛乳1リットルに茶葉100グラム。煮出すよりも蜂蜜の甘味がでて美味しいんです。

shop data

TIMELESS CHOCOLATE
沖縄県中頭郡北谷町美浜9-46 ディストーションシーサイドビル2F

Online store
https://shop.timelesschocolate.com/

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Koyama Chisa
Koyama Chisa
おいしいものを綴る人。店主からこぼれる言葉を掬って生きたい。ゲストハウス、地方出版社、都内編プロを経て、神戸の広告会社にリモート勤務。いまは仙台暮らし。今日もCafeにいる。